マジックとエンジニアリングの素敵な関係!

ユーザインターフェース研究者の増井俊之氏が、彼のブログで、とても興味深いことを書いています。

それは「ステージマジックとインタフェースには沢山の共通点がある」という話。もちろん、彼は UI の専門家なので、その分野においての「マジック的」技術、技法、考え方について書いているわけで、これはこのブログを始めたばかりの頃に聞いた話(「デザイナーはマジシャンであれ!」)にも通じるものがあります。

でも、そのときにも書いたけど、本当はもっと広い意味で、「デザイン」という言葉もグラフィックデザイン的な狭い意味ではなく「設計」とか、あるいはもっと広く「計画」(企画)という意味でとらえた場合にも通用する話だと思います。

マジックをやっていると、初心者の方から良く受ける質問に「見えないくらいに細くて強い糸を売っているところを教えてください」というような類のものがあります。そういう時に僕が答える(というか、逆に質問する)のは、「あなたは『それ』で何をしたいのですか?」ということです。大切なのは「手段」(見えない糸)ではなく「目的」(何をしたいか。例えば「人を宙に浮かせたい」とか・・・)なのです!

これは、僕の本業(マジックじゃないよ! エンジニアだよ!! (^.^;))でも、まったく同じことなんですね。まず一番大切なのは「お客様にどんな価値(マジックでいえば現象)を提供したいのか」があり、次に「お客様はそれをどう利用するか(マジックでいえば、どのように『解釈し、受け止められる』のか)」を調査して分析し、そこで初めて「どうやって実現するか」が明確になるのです。まさにマジックも「人間中心設計」なんですよね!! (^-^;)/

上のような手法を「ニーズからの企画」とか呼ばれるように、良く「シーズからの企画」もあるだろうとか言われますし、実際に「この素材、技術をどのように使えるだろうか?」という発想方法もあるのですが、その方向から発想する場合であったとしても、結局は「お客様が何を求めているのか、何を期待し、どのように使うのか」という「知識」があらかじめあるからこそ可能なのです。つまり、「ニーズ」を知らなければ「シーズの使い道」もわからないわけです。

と・・・マジシャンとして 40 年間も演技をしてきた僕としては、当たり前のように体得してきていたことで、知らず知らずのうちに「本業」のエンジニアとしても活用してきた「手法」だったのですが、というか「技術者」としても当たり前のような話だと思うんですが、現実的にはその「当たり前」ができない「技術者」が多いことには本当にがっかりしますね・・・ (-.-;)

UI という分野について書かれている増井氏のエントリーは、僕が言っている(広義の)「デザイン」の話に比べると、少し狭い領域ではあるものの、「エンジニアリングとマジック」の本質的な類似性について、第一線の研究者が明快に示してくれたのは、大変嬉しいことです (^-^)/

P.S.

Wikipedia で彼の経歴調べたら、僕と同期だったのね?!! (^.^;)

彼は学生時代には何やってたんだろう??

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